私がものすごーく凹んでいるとでも
思ったのかしらねぇ
HN「ルクス」から昨日、

「あのー、冷麺でも食わないか?」ってね
お誘いがあったのよ。

ルクスはこの日記のサイトではない
別のところで日記を書いている男なんだけど
私の日記をいつも読んでくれているヒト。

本名を照明(てるあき)というんだけど
だれも「てるあき」なんて呼んではくれない
呼ばれるのは、いつも「しょうめい」・・

だからHNも「ルクス」になったらしいの。
照明だから ルクスね。安直。

でもけっしてルックスがいいわけじゃない。
どちらかというとくたびれているわ。

興味のある人は飛んでみてね(謎)。

彼の口からでるのは、いつも
歌の文句のもじりや小説や詩の一節を
少しひねったもの。

誰もそれを気づかないらしいけど
私には、ばればれなのよ。

「なによ、それ、中島みゆきね。
 でもなんで蕎麦じゃなくて冷麺なの?」

「あれ、わかっちゃったかあ。
 さすが、げるさんだ。でどうする?」

「いくわよ。おごりならね。」

私は二つ返事で承諾しちゃった。

・・・・・・・・・・
浅草橋「TORYO」
特製冷麺セット1200円と
生ビール大650円

「やっぱ夏は冷麺だね。
 冷やし中華なんて<もさもさ>したもの
 食えないよ。」

冷やし中華が<もさもさ>してるかは
ともかくとしてね、
ルクスは店に貼られた「冷麺はじめました」の
張り紙を鉄箸で指しながらそう云ったわ。

ルクスとは初対面なんだけど
なんとも子どもみたいな
食べ方をする男だわね。
汁をテーブルに飛ばしまくってるし。

「それはそうと、げるさん。
 こうして二人で冷麺を食ってると
 恋人同士みたいだね。
 なぜなら・・」

ほらきたわ。

「冷麺で恋をして・・でしょう?
 あんた進歩ないわね。
 残念ながらあなたに恋心なんてないからね」

私は「冷たく」言い放ったけれど
少しかわいそうになったからさ
こう聞いてみたわ。

「ねえ、ルクス、どうしてさ
 冷麺は金属の箸で食べるか知ってる?」

ルクスは顔を輝かせて答えたわ。

「よくぞ聞いてくれました。げるさん。
 昔、宮中で食中毒防止のために
 銀の箸をつかっていたんだけど、
 それが庶民にも広まった・・
 たしか、そんな話だよね。」

「そうね、でもそれだけじゃないのよ。
 金属の箸は携帯用なのよ。
 日本の割り箸みたいに使い捨てじゃなく
 みんなマイ箸を持ち歩いてるの。
 なぜだかわかる?」

「え?さあ・・」

「いつでも目の前の相手を
 刺し殺せるようによ。
 そして自分も死ぬのよ。」

「・・へえ・・そうなん・・」

「ねえ、ルクス。あなた
 私と死んでくれる?」

ルクスは口の中の冷麺を噴き出しちゃた。
ほんとにばっちいやつだなぁ。

「えー?恋されてもいない相手と?
 うーん。今日は無理だけど
 いろいろ片付けて明日の夜になら
 なんとかなるかなあ・・。」

私も冷麺を吹き出しそうになっちゃった。

「あはは 冗談よ。冗談。
 でもありがとね。
 やさしいのね。
 少しルクスが好きになったみたいだわ。」

「少しで、みたい・・かあ。
 せめて死ぬときには
 手ぐらい握って欲しいもんだが。」

「手ぐらい今、握ってあげるわよ。
 はい。」

私は五千円札をそっと
ルクスの手に握らせた・・。

「なんだいこれ。」

「ここの払いよ。おごるわ。
 気分いいし。
 もう一杯ビール呑む?
 それから少し散歩でもしよっか。」

風は相変わらずばたばたと
暖簾(のれん)を揺らしているわ・・。

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